BUTI-BBS~幻想掲示板~ 95484


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1:利久 :

2011/02/21 (Mon) 02:50:21

マジで成功させたい。
4回やって全部ミスってるから、5度目の正直!!
変な方向に曲げるのだけはやめて!!


ルールは特になし。
書き方は自由だし、連投もアリ
挿絵描いてくれてもいいんだよ。はい。
被った時は先に投稿した方の優先で
挿絵ある場合はそっち優先
あと安価で繋げてね>>1って感じで

まず、話を考えよう。なんかあったら言ってみて

32:アリア ◆fr2FETe1Ug :

2012/07/19 (Thu) 11:13:50

>>31


「へ?」

 俺は間の抜けた声を出してしまった。

 俺には何もなかったのに、汐織ちゃんにはあったのか。なんだかずるく感じるけど、嫌な予感もするので気にしないことにする。

「何を感じた」

 保険医はいつもと変わらない口調で訊く。

「なんていうか、こう……体が温かくなって、疲れがなくなっていくのを感じました」

 俺は、漫画の世界やらで起きることに似ていると感じた。でも俺が今いるここは現実の世界だ。何があってもおかしなことがあってはいけない。しかし、汐織ちゃんの言うことを信じないわけにはいかない。そんなことをしたら俺は、気になる子を信じれない野郎に成り下がってしまう。そうなるくらいなら、間違いの1つや2つ犯してやるさ。

「お前は心の中を黙らせろ」

 保険医からの忠告を受けた。もう、こいつが心を読めることは事実として受け止めざるを得なかった。

 俺が心の中での独白をやめたのを感じると、保険医は再び汐織ちゃんに向き直った。

「つまりは、治療系か……」

 ここはゲームの世界か? いや違う。ここは現実だ。これ、何回言えば済むのだろうか。

「お前が不審に思っている間、ずっと言い続けるだろうよ」

 もう心の声にいちいち反応するのはやめてくれ。精神的につらい。

「何も考えなければいいだろ」

「無茶言うなよ」

 保険医はシカト。なんで心の声には反応するんだよ。

「よし」

 何がよしだよ。

 保険医は、ハサミを持って俺のほうへ近づいてきた。

「え、何?」

 無表情で保険医は、その手に持ったハサミを俺の右足、それも太腿に突き刺した。

「……」

「……」

 俺と汐織ちゃんは無反応。いや、俺は無反応なわけが……あれ、もしかして平気だったりする? マジで?

 ………………ん?

 足から、なんていうか、こう鋭い何かが……。あれ、俺って平気なんだよね? そうそう、平気平気……って――

「んなわけあるか! めちゃくちゃ痛ぇ!」

「当たり前のことで騒ぐな。傷口が開くぞ」

「何言ってんだ。痛いから大声でてんだよ! 危険を発してるんだよ! お前保険医だろ、助けろよ! てか傷口はお前が開かせてるんだよ!」

「やれやれ、これだから最近の男ってやつは……」

 何言ってやがる。何を気取ってんだよ。いいから早く助けろよ。

「立花、お前が感じた何かを、こいつの傷口に使ってみろ」

「は、はい」

 汐織ちゃんは困惑した表情で俺の太腿に手をかざした。すると、傷口が見る見るうちに、治っていくではないか。それに、なんだかあったかい。

「よくできたな。まあ、あの光景を見たんだ。能力が現れるもの必然だな」

 人のこと刺しといてよく言う。俺に労いの言葉はなしか。

「よく頑張ったな。お姉さん、君が失神するかと思ったんだけどね」

 昔の口調で話すなよ、なんだか許せちまうじゃねえか。

「お前の扱いには慣れてるんでな」

 たく、食えないお人だよ。

「あ、あの……」

 汐織ちゃんが何か聞きたそうにしている。

「ん?」

 保険医が汐織ちゃんに視線を戻す。

「私は、変じゃないんですよね?」

 まあ、まっとうな質問だよな。人の傷を瞬時に治せるなんて、現実には考えられないからな。

「普通じゃないといえば、そうだが、変じゃない。ただ能力が開花しただけだ。基本的に一般人となんら変わらない」

「よかった」

「でも、あんまり一般人の前で使うなよ。見られたら今までの生活を失うことになるぞ」

「はい」

 弱弱しく感じた汐織ちゃんが、なんだかとても強く見えた。

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