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1:利久
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2011/02/21 (Mon) 02:50:21
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マジで成功させたい。
4回やって全部ミスってるから、5度目の正直!!
変な方向に曲げるのだけはやめて!!
ルールは特になし。
書き方は自由だし、連投もアリ
挿絵描いてくれてもいいんだよ。はい。
被った時は先に投稿した方の優先で
挿絵ある場合はそっち優先
あと安価で繋げてね>>1って感じで
まず、話を考えよう。なんかあったら言ってみて
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32:アリア ◆fr2FETe1Ug
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2012/07/19 (Thu) 11:13:50
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>>31
「へ?」
俺は間の抜けた声を出してしまった。
俺には何もなかったのに、汐織ちゃんにはあったのか。なんだかずるく感じるけど、嫌な予感もするので気にしないことにする。
「何を感じた」
保険医はいつもと変わらない口調で訊く。
「なんていうか、こう……体が温かくなって、疲れがなくなっていくのを感じました」
俺は、漫画の世界やらで起きることに似ていると感じた。でも俺が今いるここは現実の世界だ。何があってもおかしなことがあってはいけない。しかし、汐織ちゃんの言うことを信じないわけにはいかない。そんなことをしたら俺は、気になる子を信じれない野郎に成り下がってしまう。そうなるくらいなら、間違いの1つや2つ犯してやるさ。
「お前は心の中を黙らせろ」
保険医からの忠告を受けた。もう、こいつが心を読めることは事実として受け止めざるを得なかった。
俺が心の中での独白をやめたのを感じると、保険医は再び汐織ちゃんに向き直った。
「つまりは、治療系か……」
ここはゲームの世界か? いや違う。ここは現実だ。これ、何回言えば済むのだろうか。
「お前が不審に思っている間、ずっと言い続けるだろうよ」
もう心の声にいちいち反応するのはやめてくれ。精神的につらい。
「何も考えなければいいだろ」
「無茶言うなよ」
保険医はシカト。なんで心の声には反応するんだよ。
「よし」
何がよしだよ。
保険医は、ハサミを持って俺のほうへ近づいてきた。
「え、何?」
無表情で保険医は、その手に持ったハサミを俺の右足、それも太腿に突き刺した。
「……」
「……」
俺と汐織ちゃんは無反応。いや、俺は無反応なわけが……あれ、もしかして平気だったりする? マジで?
………………ん?
足から、なんていうか、こう鋭い何かが……。あれ、俺って平気なんだよね? そうそう、平気平気……って――
「んなわけあるか! めちゃくちゃ痛ぇ!」
「当たり前のことで騒ぐな。傷口が開くぞ」
「何言ってんだ。痛いから大声でてんだよ! 危険を発してるんだよ! お前保険医だろ、助けろよ! てか傷口はお前が開かせてるんだよ!」
「やれやれ、これだから最近の男ってやつは……」
何言ってやがる。何を気取ってんだよ。いいから早く助けろよ。
「立花、お前が感じた何かを、こいつの傷口に使ってみろ」
「は、はい」
汐織ちゃんは困惑した表情で俺の太腿に手をかざした。すると、傷口が見る見るうちに、治っていくではないか。それに、なんだかあったかい。
「よくできたな。まあ、あの光景を見たんだ。能力が現れるもの必然だな」
人のこと刺しといてよく言う。俺に労いの言葉はなしか。
「よく頑張ったな。お姉さん、君が失神するかと思ったんだけどね」
昔の口調で話すなよ、なんだか許せちまうじゃねえか。
「お前の扱いには慣れてるんでな」
たく、食えないお人だよ。
「あ、あの……」
汐織ちゃんが何か聞きたそうにしている。
「ん?」
保険医が汐織ちゃんに視線を戻す。
「私は、変じゃないんですよね?」
まあ、まっとうな質問だよな。人の傷を瞬時に治せるなんて、現実には考えられないからな。
「普通じゃないといえば、そうだが、変じゃない。ただ能力が開花しただけだ。基本的に一般人となんら変わらない」
「よかった」
「でも、あんまり一般人の前で使うなよ。見られたら今までの生活を失うことになるぞ」
「はい」
弱弱しく感じた汐織ちゃんが、なんだかとても強く見えた。